相続税手続きイメージ

2023年12月19日更新。

故人の想い出にと、遺品を形見分けとして知人に差し上げることがあります。しかし、相続権のない人に高額な遺品をあげることは贈与になり、贈与税の対象になることがあります。遺品の形見分けや遺産相続は、大きなトラブルに発展する可能性もあるので事前の知識が大切です。相続する際の法定相続分や、相続後の相続税などについて、ここでは基本的なことをご紹介します。


【もくじ】
・遺品の整理はまず職場のものから
・形見分けは原則として親族間で
・遺言状の有無による遺産の分割
・法定相続人
・法定相続分
・相続税の基礎控除
・相続税のかからない財産とは
・遺産相続の放棄
・相続税の申告
 

遺品の整理はまず職場のものから

故人が勤めていた場合、葬儀が終了次第、職場に行き、故人の遺品の整理をして引き取ります。自営などである場合は、仕事関係の書類や帳簿類は、税金等の関係を考慮して、少なくとも5年は保存しておきます。日記や手紙は、1か所にまとめて2~3年間は保存しましょう。
 

形見分けは原則として親族間で

形見分けをする品物は、故人の生前がしのばれる愛用のもの、洋服、和服、時計、愛蔵書、趣味の道具、装飾品(ネックレス、指輪類)などです。これらは、おおむね親族間で分けます。常日ごろあまり付き合いのない人や目上の人に安易に差し上げるのは禁物です。
また、相続権のある方に渡すことは相続となり、相続権の無い方に渡すことは贈与となります。110万円以上の品物は、贈与税の対象となりますので注意しましょう。

遺品イメージ

遺言状の有無による遺産の分割

故人が遺言を残している場合は、遺言に従って遺産を分けます。遺言のない場合は、相続人同士の話し合いで分けます。話し合いがつかない場合は、法律に従って遺産を分けることになります(法定相続分)。
 

法定相続人

配偶者は必ず法定相続人になります。次に子や孫などの直系卑属、そして父母や祖父母などの直系尊属、兄弟姉妹やその子の順で相続権が発生します。
 

法定相続分

故人に配偶者以外の法定相続人がいない場合には、配偶者が遺産の全てを相続します。配偶者と他の親族が法定相続人になる場合の法定相続分は以下になります。

配偶者と直系卑属(子や孫)
配偶者2分の1、子2分の1
配偶者と直系尊属(父母や祖父母)
配偶者3分の2、直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹(またはその子)
配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

法定相続分説明図

相続税の基礎控除

相続税には基礎控除があり、具体的には3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)の金額を超えた分だけ相続税がかかります。遺産総額≦基礎控除額の場合には相続税はかかりません。

相続税のかからない財産とは

遺産を相続したり譲り受けたりした場合でも、以下のような課税対象にならないものもあります。

① 墓地、墓所、墓石、霊廟
② 生命保険金のうち「600万円×法定相続人数」の額まで
③ 退職金のうち「600万円×法定相続人数」の額まで
④ 香典、弔慰金(金額により)
⑤ 相続税の申告期限前に震災、風水害、落雷、火災などの災害で被害を受けた相続財産

また、葬儀に掛かった費用(香典返しや法要の費用は除く)も相続税の課税対象にはなりません。
 

遺産相続の放棄

相続には単純承認と限定承認、相続放棄の3つの方法があります。

単純承認
プラスの財産もマイナスの財産も無条件に引き継ぐことです。何も手続きを取らなければ単純承認となります。
限定承認
マイナスの財産のうち、プラスの財産を超える分は引き継がないことです(マイナスの財産は放棄してプラスの財産だけ引き継ぐ、ということはできません)。相続人全員の総意が無いと行えません。
相続放棄
プラスの財産もマイナスの財産も全て相続を行わないことです。単独で行うことができます。この場合、相続人でなかったものとみなされるため、相続の権利が移動します。したがって、他の相続人の相続分が増えたり、新たに相続人になる人が出る可能性があります。
 

相続税の申告

相続開始を知った日(亡くなったことを知った日)の翌日から10か月以内に行わなければなりません。
 
贈与税の申告と納税の期限
贈与税の申告と納税は原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までに、財産をもらった人の住所を所轄する税務署で行います。
(平成30年4月1日現在法令等)