神道の葬儀

2024年1月23日更新。

全国儀式サービスでは、ご利用者様の全体の約3%が、神道の葬儀を執り行っていらっしゃいます。

実際に神道の葬儀を執り行う際には、神官や葬儀社にリードしてもらいながら、進めることになりますが、あらかじめ、その意味や内容について知っておくと、安心です。

ここでは、神道の葬儀で行われることを、流れに沿って紹介します。普段聞きなれない言葉の読み方や意味も併せて説明します。

 
 
 
 
【もくじ】
1.神道の葬儀を行う意味
2.神道の葬儀を行う場所
3.神道の葬儀の手配について
4.神道の葬儀の流れ
5.まとめ:神道では数多い儀式が行われます。流れを把握して臨むと安心です
 
 
 
 

1.神道の葬儀を行う意味

故人様に家を見守っていただく儀式

神道では、亡くなった人の魂は、遺体から離れて、産土神(うぶすながみ:その人が生まれた土地の守護神。氏神)の森に帰っていくとされています。

そして子孫を見守り、盆と正月に帰ってくるものと言われています。

神道の葬儀は、故人様を家の守護神として祀り、子孫を見守っていただくための儀式です。

 
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2.神道の葬儀を行う場所

神道の葬儀は、斎場か自宅で行う

神道では、死は穢れ(けがれ)と考えられているため、神聖な場所である神社では、葬儀を行いません。

神道の葬儀は神社ではなく斎場で行う

 
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3.神道の葬儀の手配について

葬儀社に依頼する

神聖な場所である神社では、葬儀を行わないため、葬儀社に葬儀を依頼するのが一般的です。

依頼する際には、神道で葬儀を行う旨を伝えます。そうすると葬儀社が、葬具・葬場の準備のいっさいを代行してくれます。神官の手配もしてくれます。

もし、あなたが神社の氏子である場合、神官の手配は自分で行い、その神社に依頼します。
霊璽(れいじ:仏教での位牌にあたる)、銘旗(めいき:死者の名前を書いた旗)、墓標への筆書きも併せて依頼します。

 
 
<補足1:これまで仏式の葬儀を行っていた方は注意が必要>

これまで仏式の葬儀を行っていた方も、希望すれば、神道の葬儀を行うことができますが、菩提寺などのお寺が管理するお墓には納骨することが出来なくなります。
そのため、公営・民営の墓地などに納骨することになりますので、注意しておきましょう。

納骨は公営・民営の墓地に行う

 
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4.神道の葬儀の流れ

全体の流れ

神道では数多い儀式が執り行われます。

 
(1)帰幽奉告の儀 きゆうほうこくのぎ
(2)枕直しの儀 安置
(3)納棺の儀 納棺
(4)柩前日供の儀 きゅうぜんにっくのぎ
(5)通夜祭 通夜
(6)遷霊祭 せんれいさい
(7)葬場祭 そうじょうさい 葬儀・告別式
(8)発柩祭 はっきゅうさい 出棺
(9)後祓いの儀 あとばらいのぎ
(10)火葬祭 火葬
(11)帰家祭 きかさい 遺骨迎え
(12)埋葬祭 納骨

※クリックすると、詳細へ移動します。

 
 
 

(1)帰幽奉告の儀 きゆうほうこくのぎ

神道では、人が亡くなることを帰幽(きゆう)と言います。
家族が亡くなったら、神棚の扉を閉め白紙で封じます。その後、祖霊舎(それいしゃ:仏教での仏壇にあたる)に報告をします。

 

■流れ
①神棚を閉じます。
②社の手前に白紙を貼ります。
③祖霊舎に、誰それが死んだということを報告します。

 
 
<補足2:神道における「死」について>

神道では死を穢れとしており、その穢れが神様に及ばないように神棚を封じます。
神棚封じは忌明け(神道では五十日祭が一般的)まで行います。この間はお神酒などもお供えせず、日々の礼拝もしません。

故人様が信仰していた神社があれば、そこにも亡くなったことを報告します。
この報告は喪に服していない人が代行します。神道では、死者の家族は忌明けまで神社に入ることができないからです。

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(2)枕直しの儀

近親者が集まり、故人様を安置します。

 

■流れ
①故人様を、安置する部屋(殯室:ひんしつ)へ移します。
②北枕か上座を頭にして寝かせ、白布で顔を覆います。
③枕元に白張りの枕屏風を立て、案と呼ぶ小机に守り刀をのせます。女性は鏡でも構いません。
④燈明を点じ、遺族や近親者が故人を囲んで安らかな眠りを祈ります。

枕直しの儀

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(3)納棺の儀

末期の水、遺体のお清め、死化粧などは、仏式と同じです。
詳しくは 納棺 の記事をご参考ください。

故人様には、神衣(かんみそ:仏式での死装束のこと)という納棺用の衣装を着せ、白足袋を履かせます。

故人様を棺に納め、周りを花で飾ったら、柩を白い布で覆い、祭壇に安置します。
そして、手を清めて拝礼します。

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(4)柩前日供の儀 きゅうぜんにっくのぎ

柩の前に、供物を供えます。時間が間に合えば、遺影も一緒に飾ります。

納棺してから出棺(神道では「発柩:はっきゅう」と言う)まで、毎日朝と夕方に、故人が生前好んだ食べ物を案にのせて柩の前に供え、拝礼します。

柩前日供の儀
■魚や肉などを供える場合は、取れたての新しいものにします。

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(5)通夜祭

通夜祭は葬場祭の前夜に行われます。
亡くなってから葬儀を行うまでの間、故人様に生前同様の礼を尽くし、奉仕するための儀式です。

 

■流れ
①斎主(神主)、喪主、遺族の順に手水の儀(ちょうずのぎ)を行って着席します。
②斎主が一拝して、全員がこれにならって一拝したあと、斎主が祭詞をあげます。
③楽員によって誄歌(るいか:死者の生前の功徳をほめたたえ、その死を悼む歌)が奏楽されます。
④斎主、喪主、家族・親族が次々に玉串を捧げて拝礼して終わります。

※席次の決め方や玉串を捧げる順番などについては、仏式の場合と同じです。

通夜祭

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(6)遷霊祭 せんれいさい

遷霊祭は通夜式とは別の儀式ですが、現在は通夜祭に引き続いて行うことが多くなっています。

遷霊祭は御魂(みたま)移しともいい、御魂を故人の姓名と生年月日などを書いた、霊璽(れいじ:仏教での位牌にあたる)に移す儀式です。

 

■流れ
①家中の明かりを消し、神官は「故人の御魂が霊璽に移るように」と、遷霊祭詞を唱えます。
②その霊璽を柩にかざして「おー」という声をかけると、故人の御魂が霊璽に入ったものとされます。
③霊璽は案に戻します。
④部屋の明かりをつけ、神官が遷霊祭詞を奏上し、神官以下一同が玉串をささげ拝礼します。

遷霊祭



通夜祭、遷霊祭が終わると、故人を偲んで酒食のもてなしが行われます。
これは直会(なおらい)と呼ばれます。

食事は生ものでも構いません。ただし、神道では喪家で火を使って調理することを禁じているので、仕出しなどをとることが多いようです。

直会(なおらい)

 
 
 
<補足3:手水の儀(ちょうずのぎ)>

手水の儀は、祭事に入る前に手を洗って清める手法です。

 

■手順
①桶の水を柄杓(ひしゃく)ですくって、左手を洗います。
②同じようにして右手を洗います。
③左手で水を受けて軽く口をすすぎます。もう一度左手を洗います。柄杓に水を流して伏せて置きます。
④懐紙(かいし)で口と手を拭きます。

手水の儀



なお、手水奉仕を受ける場合は、以下の手順で行います。

①両手に水を受けて洗います。
②両手に水を受けて軽く口をすすぎます。
③もう一度両手に水を受けて洗います。
④懐紙(かいし)で口と手を拭きます。

最近ではこの手水の儀は、手洗いだけに略することが多くなりました。

 
 
 
<補足4:玉串の捧げ方>

玉串を捧げることを、玉串奉奠(たまぐしほうてん)と言います。

玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる紙片をつけたものです。
玉串をお盆の代わりにし、それに自分の真心をのせて捧げるという意味があります。
仏式における焼香にあたります。

 

■手順
①神官に一礼して、両手で玉串を受け取ります。右手は玉串の根元を上から包むように、左手は枝先を下から添えるようにして、胸の高さで持ちます。
玉串奉奠1(玉串を受け取る)


②祭壇に進み、一礼します。
玉串奉奠2(祭壇に進み出る)


③右手で持っている玉串の根元を手前にして、玉串を身体に対して縦にします。次に根元を左手に持ち替え、根元が祭壇に向くように、右回りに半回転させます。根元を祭壇に向けて玉串案(玉串をのせる台)の上に置きます。
玉串奉奠3(玉串を捧げる)


④二礼し、忍手(しのびて:音を立てない柏手)を二回打ち、最後にもう一度一礼します。
玉串奉奠4(二礼二拍手一礼)

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(7)葬場祭 そうじょうさい

仏式の葬儀・告別式にあたります。

 

■流れ
①手水の儀
 参列者一同、手水の儀をしてから着席します。

②神官入場
 一同起立して神官を迎えます。

③開式の辞
 司会者が開式の辞を述べます。

④修祓の儀
 斎主が修祓(しゅばつ:斎場、供物、参列者を祓い清める)を行います。
 一同は起立し、深く頭を下げます。
修祓の儀

⑤献饌・献幣(けんせん・けんぺい)
 奏楽のうちに、副斎主が神饌(しんせん:飲食物)と幣帛(へいはく:神饌以外のお供え物)を供えます。

⑥祭詞奏上
 斎主が祭詞を奏上、その中で、故人の略歴、業績、人柄などを述べ、故人の霊が守護神となって、遺族を守るようにと祈ります。

⑦弔辞拝受・弔電紹介
 楽員が霊を慰める誄歌(るいか)を奏する中で、弔辞・弔電の披露をします。

⑧玉串奉奠(たまぐしほうてん)
 斎主、喪主、以下順に玉串を捧げ、拝礼します。一般弔問者は着席順に途切れないように祭壇に進みます。
 なお、仏式の葬儀と同様に、一般弔問者の玉串奉奠を告別式として、葬場祭と区別して行うことがあります。

⑨撤饌・撤帛(てっせん・てっぺい)
 斎主が一拝して、一同これにならいます。奏楽のうちに、副斎主が神饌や幣帛を下げます。

⑩神官退場
 一同が頭を下げる中で神官は退場します。

⑪閉式の辞
 司会者が葬場祭の終わりを告げます。

 
 
 
<補足5:式場内の配置について>

葬場祭の式場では、祭壇の脇の一番高い所へ左右に楽員と神官の席が設けられます。

祭壇の下には、向かって右に喪主と遺族や近親者、左に葬儀係、後ろに一般参列者が着席します。
※地域によって異なります。

柩は正面の中央に安置し、祭場の周囲に忌竹を立て、しめ縄を張り、鯨幕を張ります。
柩の後ろには故人姓名を書いた銘旗を立て、柩の前に遺影を置き、燈明、榊、供物などを飾ります。

葬場祭の席次

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(8)発柩祭 はっきゅうさい

出棺祭ともいいます。
遺族や近親者は、故人様と最後のお別れをして、遺族が釘打ちを行い、柩を霊柩車に運びます。

ここで喪主または親族代表のお礼の挨拶があるのは仏式と同じです。

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(9)後祓いの儀 あとばらいのぎ

祓除の儀(ふつじょのぎ)ともいいます。
出棺の後、残った親類・世話人は、祭壇を取り外し、家の内外を掃き清めて、修祓の神官に、家の内外と関係者全員を祓い清めてもらいます。

それから仮霊舎(かりみたまや)を設け、榊と花を飾り、清めのための水や塩を用意して遺骨を迎えます。

斎場での葬儀が増えるにつれ、後祓いの儀は省略されることが多くなりました。

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(10)火葬祭

火葬場に着いて、かまに柩を納めると、神官が祭詞(さいし)を奏上して、玉串をささげて拝礼します。

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(11)帰家祭 きかさい

仏式の遺骨迎えにあたります。

遺骨が着くと、喪主以下全員がお祓いをしてもらった後、入り口で手を洗って塩をまいて清め、帰家祭に入ります。

仮霊舎には霊璽を置いて祭り、遺骨は脇に置きます。修祓、献饌、玉串奉奠などの儀式を行います。


神道の葬儀が終わると、仏式の法事・法要にあたる霊祭が行われます。
翌日祭、10日ごとに十日祭、五十日祭、百日祭、式年祭(一年、三年、五年…)が行われます。

近年は火葬場から葬儀場に戻った時に、帰家祭と併せて十日祭まで行われることが増えてきました。
その後、仏式の精進落としと同様に直会(なおらい)が行われます。

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(12)埋葬祭

仏式の納骨にあたります。
一般的に三十日祭から五十日祭の間に行われます。

 
 
 
<補足6:忌明けについて>

五十日祭を終えると、翌日には清祓の儀(せいばつのぎ)が行われて忌明けとなり、神棚、祖霊舎に貼ってあった白紙を取り除きます。

祖霊舎に、霊璽(れいじ)を祖先の霊と共に祭ります。

霊璽は、仏式の位牌にあたります。
神官が下記のように書いてくれます。
表には、故人様の諡(おくりな:仏教での戒名にあたる)が書かれます。
諡は、性別と享年によって異なります。

また裏には「◯年◯月◯日 帰幽享年◯歳」が書かれます。

 
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5.まとめ:神道の葬儀では、数多い儀式が行われます。流れを把握して臨むと安心です。

神道の葬儀は、故人様を家の守護神として祀り、子孫を見守っていただくための儀式です。

その葬儀では数多い儀式が執り行われます。

<神道の葬儀の流れ 一覧>
①帰幽奉告の儀(きゆうほうこくのぎ)
②枕直しの儀:安置
③納棺の儀:納棺
④柩前日供の儀(きゅうぜんにっくのぎ)
⑤通夜祭:通夜
⑥遷霊祭(せんれいさい)
⑦葬場祭(そうじょうさい):葬儀・告別式
⑧発柩祭(はっきゅうさい):出棺
⑨後祓いの儀(あとばらいのぎ)
⑩火葬祭:火葬
⑪帰家祭(きかさい):遺骨迎え
⑫埋葬祭:納骨

その進め方について理解しておくと安心して葬儀を執り行えると思います。

また儀式の際に、手水の儀(ちょうずのぎ)や玉串奉奠(たまぐしほうてん)を行うことも特徴です。手順について理解しておきましょう。


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