2023年12月19日更新。
最澄が開いた天台宗について、教義や葬儀の特徴などを簡単にご紹介します。
【もくじ】
・開祖
・教義
・経典
・本尊
・本山
・葬儀の特徴
・焼香の回数
開祖
天台宗の開祖は最澄(さいちょう)(767~822)です。近江の国、現在の滋賀県大津市に生まれました。天台宗は元来中国天台大師智顗(ちぎ)(538~597)によって法華経を根本経典として大成された宗派です。
804年最澄が唐に留学し、多くの師から天台教学や密教、禅、大乗戒を学び、翌年に帰国。天台教学、真言密教、達磨禅宗、大乗菩薩戒の4種(円、密、禅、戒)を融合して独自の教理を築き、総合仏教的な性格を持つ日本天台宗を開きました。
それまでの仏教は天皇を中心とする国家の安泰を祈願する護国仏教であり、僧侶になるには天皇の許可が必要でした。中国から来朝した鑑真(がんじん)(688~763)により754年に授戒制が移入され、授戒儀礼を受けた者のみが一人前の僧侶とみなされました。授戒儀礼を行う戒壇は東大寺ほか3カ所ありましたが、最澄は「四分律」に基づく東大寺での授戒を小乗的であると批判し、「梵網経」に基づく大乗戒壇設立を目指しました。僧の修道規範を定めた「山家学生式」を朝廷に提出し戒壇新設を申請しましたが、比叡山に大乗戒壇設立が認められたのは822年、最澄の没後のことでした。
総合仏教的性格を持つ日本天台宗は、鎌倉新仏教の開祖が輩出する母胎となりました。最澄はのちに清和天皇(850~880)から伝教大師と諡されました。
教義
法華経にすべての仏教が統一されるという法華一乗思想を軸に、この世に生きているすべてのものにことごとく仏性が備わっており、十界に生きる者は皆、成仏できると説きます(本学思想)。円、密、禅、戒の実践を通じて皆成仏の実現を目指します。
経典
「法華経」を基本経典とし、「阿弥陀経」「大日経」「梵網菩薩戒経」なども聖典とします。
本尊
本尊は法華経に説かれている久遠の昔に成仏した釈尊、すなわち久遠実成の釈迦如来です。また、歴史上の釈尊は「久遠実成の釈迦如来」の仮の姿であるとしていますので、諸仏諸尊も姿を変えて現れた仏として等しく尊信します。
本山
比叡山延暦寺(滋賀県大津市)
葬儀の特徴
葬儀の中で引導を渡し、下炬文(あこもん)とい故人の遺徳をたたえる文言を唱えます。散華といって蓮の花びらに見立てた紙を柩などにまく儀式があります。これは、蓮の香りにより悪いものを払うと考えられているためです。
焼香回数
1~3回 ※特に決まりはありません