遺影の準備-意味や写真・フレームの選び方、飾り方などを紹介
2023年12月19日更新。
通夜、葬儀・告別式では、祭壇の中央に故人様の遺影を飾ることが一般的です。
この遺影は、故人様が亡くなられてから短時間のうちに写真を決め、作成を依頼する必要があります。
本記事では、
◯遺影の手配方法
◯写真の具体的な選び方
◯遺影の飾り方
などを具体的にご紹介します。
生前に写真を準備しておくことも検討し、故人様や遺族が満足できる遺影になるよう、手配方法を押さえておきましょう。
1.遺影とは
1-1遺影の概要
<遺影の意味>
「遺影」の読み方は「いえい」です。
広義では故人様の生前の姿を写した写真や、肖像画全般を指します。
本記事では、通夜、葬儀・告別式の祭壇に飾るフレーム(額縁)に入った故人様の写真に絞って説明を進めます。
<遺影の役割>
通夜、葬儀・告別式への参列者は、遺影のお顔を拝見しながら、故人様と最期のお別れをします。
葬儀後は、多くの場合、故人様を偲ぶ写真として自宅にずっと飾ることがほとんどです。
故人様が生きていた証、ともいえるでしょう。
<遺影の特徴>
かつての遺影は、モノクロ写真、黒いフレームで作成されたものが一般的でした。
最近では、写真はカラーが主流で、フレームの色やデザインもさまざまです。
<宗教上の決まりは?>
宗教儀礼ではないため、決まりはありません。
◯仏教、神道
通夜、葬儀・告別式の祭壇で飾ることがほとんどです。
◯キリスト教
宗派、教会により飾らないこともありますが、飾ることが多いようです。
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2.遺影の準備の流れ
2-1流れの一覧
通常、写真作成とフレーム(額縁)の手配は、葬儀社に依頼することがほとんどです。
葬儀社との打ち合わせ時に、遺影について説明を受け、以下の流れで準備を進めます。
①遺影のフレーム(額縁)を選ぶ
②遺影の写真を選ぶ
③遺影写真のプリントを依頼する
④遺影を飾る
詳細は次章以降で説明をします。
<補足:遺影の費用>
葬儀プランによって含まれている場合とそうでない場合があります。
詳細は葬儀社に確認をしてください。
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3.遺影のフレーム(額縁)を選ぶ
オーソドックスな黒色のほか、さまざまな色、デザイン、材質などから選びます。
葬儀プランの内容によっては、選べないものやオプション扱いのものがあります。
葬儀社に確認をしましょう。
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4.遺影の写真を選ぶ
4-1写真を選ぶタイミング
◯生前に自分(家族)が選ぶ
◯亡くなられてから遺族が選ぶ
のいずれかになります。
最近は前者も増えてきましたが、多くは後者のケースです。
遺影を通夜の開始に間に合わせるため、通常は通夜の前日までに選びます。
4-2写真の選び方
遺影の原板となる写真は、
◯写真の現物
◯画像データ・ネガ
いずれでも作成可能です。
選択にあたっては、
◯仕上がりへの影響
◯故人様を偲びやすいもの
この二つの観点がポイントです。
具体的には下記のものを選ぶといいでしょう。
<仕上がりへの影響>
■現像(プリント)した写真の場合
①お顔が大きく写っているもの
→10円玉大以上あるとよいです。
②保存状態がよいもの
→あまりにも色褪せていたり、傷みや汚れがあったりすると、きれいに仕上がらないことがあります。
■デジタル写真の場合
○画素数の高いもの
→デジタルカメラやスマートフォンで撮影した画像は、画素数が200万画素以上あるとよいとされています。
最近の機種は、ほとんどがこの基準をクリアしています。
■いずれの場合も
○ピントが合っているもの
→写真を引き伸ばすと、ピントのズレも大きくなります。
画像編集ソフトで補正できる場合もありますが、基本的にはピントの合っているものを選ぶようにしましょう。
<故人様を偲びやすいもの>
①お顔の前には何も写っていないこと
→花束などが写っていると、お顔を修正することになります。
それにより故人様の表情が変わってしまう可能性が高いです。
②首から上がすべて写っていて、頭髪などが切れていないもの
→髪などは修正可能ですが、髪型が違うだけで、故人様の印象が大きく変わってしまうこともあります。
③目線がカメラに向いているもの
→目線が外れていると、故人様が遺族や参列者を見ていないような印象になってしまうことがあります。
④故人様が生前気に入っていたもの
→普段から飾っていた写真があれば参考になります。
⑤故人様の人柄が表れているもの
→遺族が思う「故人様らしさ」で選んで構いません。
最近では、帽子をかぶった姿、ピースサインをしたもの、手にお酒を持った遺影などもあります。
故人様らしさが表れているのであれば、そういった写真で作成するのもよいでしょう。
⑥柔らかい表情のもの
→以前は真面目な表情の写真を選ぶことが多かったようです。
昨今では、故人様が自然な表情をされているものを選ぶ方が増えています。
⑦なるべく新しく撮ったもの
→故人様を偲ぶ際、晩年のお姿をイメージする方が多いと思われます。
直近~5年以内ぐらいの写真であれば、何歳ぐらいまでご存命だったのかが一目でわかります。
ただ、闘病でお顔つきが変わったものよりは、お元気な頃のもので、故人様らしいと思える写真がよいでしょう(年数に決まりはありません)。
※画像はイメージです。
4-3服装・背景
写真の加工技術が進化しているため、服装や背景にはあまりとらわれなくてもよいでしょう。
<服装>
かつての主流は、喪服やスーツでした。
最近ではカジュアルな服装のままで作成する方も多いです。
服装は着せ替えができ、種類や選択の幅が広がっています。
選ぶポイントとしては、「故人様が生前お召しになっていた服装に似たもの」です。
選んだ写真の故人様の表情にあわせて服装を決めるのも「その方らしさ」が出てよいでしょう。
<背景>
色を変更したり、建物や他人が写っていても消去したりすることが可能です。
※加工内容によっては追加料金が必要になる場合があります。
詳細は依頼時にご確認ください。
4-4遺影に適した写真のサイズ
通常、遺影は
◯祭壇用
◯焼香台用
の2種類を用意します。
サイズに決まりはありませんが、一般的には以下の通りです。
<祭壇用>
祭壇に飾る遺影写真は、参列者に見ていただくため、大きめのサイズです。
一般的には、
◯四つ切(よつぎり)サイズ
254mm×305mm
◯A4サイズ
210mm×297mm
のいずれかが多いです。
葬儀の会場が広く、大きな祭壇をお飾りする場合には、
◯半切(はんせつ)サイズ
356mm×432mm
◯全紙(ぜんし)サイズ
457mm×560mm
で作成することもあります。
<焼香台用>
焼香に使う香炉や抹香を載せる台の上に、小さなサイズの写真を置きます。
焼香の際に、近くで写真を見ていただくためのものです。
◯L判サイズ
89mm×127mm
◯2Lサイズ
127mm×178mm
などです。
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5.遺影写真のプリントを依頼する
葬儀社に写真のプリントを依頼します。
プリント(現像)された写真の現物や、画像データ(ネガ)などを提出します。
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6.遺影を飾る
6-1通夜および葬儀・告別式
葬儀社が祭壇の中央と、焼香台に飾ります。
<参考:最近の遺影の飾り方>
祭壇中央に立てて飾るだけでなく、
◯バックライトを当てる
◯モニターに投影し、スライドショーのように飾る
など、さまざまな方法があります。
6-2葬儀後〜四十九日まで
一般的には以下のようにすることが多いです。
<大きな遺影>
祭壇に飾った大きな遺影は、法事などで使用するため保管します。
◯斎場から帰ってくる時に箱があればそれに収納し、ない場合は風呂敷などに包みます。
◯フレームにリボンがついていたら、外しても構いません。
<小さな遺影>
焼香台用の小さな遺影は、後飾り祭壇(あとかざりさいだん)に飾ります。
6-3四十九日以降
四十九日で後飾り祭壇を片づけるため、遺影も場所を移し、飾ります。
<大きな遺影>
■飾る場所
仏間の壁や、仏壇の横に飾ったりします。
もしスペースの問題などで難しい場合は、他の部屋に飾るか、法事で使用するまで保管するとよいでしょう。
■飾る方法
和室の鴨居(かもい)や長押(なげし)と呼ばれる部分に飾ることが多いです。
専用の器具(額受と額ふとんなど)を使うと安定し、見栄えもよくなります。
ホームセンターや文房具店などで販売されています。
そのほか紐やフックを利用して飾ったり、リサイズして写真立てに入れたり、などさまざまです。
<小さな遺影>
基本的には仏壇には入れず、仏壇の横など別の場所に飾ります。
6-4飾り終わった後
弔い上げ(とむらいあげ)といい、個別の供養を終了した後などに、処分を検討することになると思います。
もし遺影を処分する場合は、
①自治体の区分にあわせてご自身で処分
②寺院や神社でお焚き上げしてもらう
③葬儀社や仏壇店、遺品整理業者に依頼する
などの方法があります。
どうするのがよいのかご家族でよく相談しましょう。
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7.生前に写真を準備する
7-1前もって準備するメリット
4-1写真を選ぶタイミングでも触れた通り、遺族は短時間で写真を決めることになります。
ところが、
◯写真(アルバム)の保管場所がわからない
◯パソコンやスマートフォンを開けない
◯遺影にふさわしい写真がない
◯気に入る写真がない
など、お困りになるケースは非常に多いです。
さらに、選んだ写真が実際に遺影となった時に、
◯仕上がりが今一つ
◯故人様らしくない
など、物足りなく感じる遺族もいらっしゃいます。
また、最近では自分が気に入った写真を遺影にしてほしいとのお考えで、積極的に準備される方が増えてきました。
前もって準備することで、
◯もしもの時に遺族が写真選びに慌てたり、悩んだりする負担をかけずにすむ。
◯故人様、遺族とも満足する遺影が作成できる。
などのメリットがあります。
検討してみるのもよいでしょう。
7-2生前に準備する方法
<手元にある写真から選ぶ>
気に入った写真があれば、候補をいくつか選んでおきます。
画像データ(ネガ)があれば、なおよいです。
<自分で撮影する>
手元に気に入った写真がない場合、スマートフォンで構いませんので、まずはご自身で撮影してみましょう。
普段の生活や旅行に出かけた時など、自然なスナップ写真で構いません。
数多くストックしておくことで、ご本人らしい写真を選べるでしょう。
<プロに撮影してもらう>
フォトスタジオ(写真館)でプロの写真家に撮影してもらいます。
解像度が高く、きれいに撮影されますので、遺影になった時の仕上がりもきれいです。
撮影料金はさまざまですので、確認してください。
最近では、写真館や葬儀社のイベントで、無料もしくは安価で遺影撮影会を行っているところもあります。
気軽に参加してみるとよいでしょう。
<保管場所を家族内で共有する>
選んだ写真や画像データは、家族に保管場所を伝えておくか、渡しておきます。
思い出作りを兼ねて、普段から気軽に写真を撮影してみましょう。
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8.よくある質問
Q:数人で写った写真しかありません。それを1人の遺影にすることは可能ですか?
A:可能です。背景や人物の消去、色の変更など加工ができます。
ただし、
◯故人様のお顔が隠れているもの
◯団体旅行の集合写真などお顔が小さく撮影されているもの
などは避けた方が無難です。
できれば首から上はすべて写っている(頭髪などが切れていない)ものがよいです。
Q:写真しか持っていないのですが、「ネガ」(もしくは画像データ)がないとダメでしょうか?
A:現像(プリント)された写真を元に作成しますので、ネガや画像データがなくても構いません。
写真の現物よりも、ネガや画像データから作成した方がきれいに仕上がります。
もしあれば提出してください。
Q:仏間に遺影を飾るのですが、決まりごとや注意点があれば教えてください。
A:宗教上の決まりはありませんが、通例では以下の通りです。
①場所は、仏壇の真上や真正面を避けます。
②一般的には亡くなられた順に右から左へお飾りすることが多いようです。
③なるべく直射日光が当たらない場所に飾ります。遺影に強い光が当たり続けると劣化の原因になります。
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9.まとめ:故人様と遺族が共に満足できる写真で遺影を作成しましょう
ここまで遺影の作成方法、写真の具体的な選び方などについて説明してきました。
遺影は、遺族が故人様とのつながりを感じられるものです。
その大切な遺影作成に関し、全国儀式サービスが提携する葬儀社に対して感謝の声を多数いただいております。
最後に、その一部をご紹介します。
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10.お客様の声
※お客様アンケートからの抜粋です(読みやすくするため、一部表現を加筆・変更しています)。
「遺影の写真にこだわらせていただいたが、精いっぱい応えていただき、ありがたかったです。」
「少し若い頃と晩年の写真とで迷っていた際、(もし故人の意向を確認できるなら)女性は若い頃の写真を好まれることが多い、というアドバイスをいただき、少し若い頃の写真を選びました。大変良かったです。」
「2枚の写真を上手に組み合わせて修正していただいて、素敵な遺影写真を作っていただき、それがテレビモニターに大きく写し出され大変感動いたしました。」
「遺影を小さくし、額に入れ、1つではなく3つ(悲しんでいる孫にまで)作ってくださり、ほんわか心が温まりました。」
「父の遺影になった元の写真は、父と孫のツーショットから作られたもの。その元の写真をカラーコピーしてくださり、メモリアルコーナーに飾ってくださった。とても嬉しく思いました。」
「亡母の遺影を選んでいた時、登山が好きだった母のために別途、山の景色のスナップ写真を用意して祭壇に置いてくださいました。」
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