遺骨迎え

2024年1月22日更新。

葬儀を終え、火葬を終えた後は、遺骨を持ち帰って自宅に迎え入れます。


●火葬後の流れを具体的に知りたい。
●遺骨はどうしたら良い?
●「精進落とし」での挨拶を教えて欲しい。


この記事では、そういった疑問や悩みを解決いたします。

遺骨を迎え入れる本来の流れを踏まえた上で、現在よく用いられる形式も併せて紹介いたします。


遺骨を迎え入れると、遺族の務めも一段落します。流れを把握して、務めを果たしましょう。

 
 
 
 
【もくじ】
1.火葬場から戻って身体を清める
2.遺骨を安置する(後飾り祭壇の準備)
3.還骨勤行
4.初七日法要
5.精進落とし
6.まとめ
 

※本来の順番に並べています。現在では斎場で葬儀を行うことが多いため、

●1が斎場と自宅で二度行われる
●2より先に3・4・5が行われる

場合が多くなっています。

 
 
 

1.火葬場から戻って身体を清める

火葬場から帰ってきた人は、塩と水で身体を清めて、室内(斎場・家)に入ります。

※お清めの塩を行うかどうかは、宗派によって考えが異なります。浄土真宗では、死を穢れとは捉えないため、お清めの塩は使用しません。

 
<正しいお清めの仕方>

胸・背中・足の順に、塩を一振りします。

留守番役の人が、玄関または門前に置いた水の入った手桶から、帰ってきた人の両手に、ひしゃくで水をすくってかけ、手ぬぐい(または半紙)を渡します。

留守番役がいない場合は、玄関を開けたすぐの所に、ひしゃくと水を用意しておくと良いでしょう。

 
 
 
<現在の形式>

最近では、自宅ではなく斎場に戻って、還骨勤行~初七日法要~精進落としを行うことが多くなりました。

そのため、「斎場の入口」で1回、帰宅後に「自宅の玄関前」で1回と、計2回お清めすることが多くなっています。

また最近では、塩をかけるお清めだけの場合が多くなっています。

手水

 
 
 
<補足1:公営斎場で葬儀を行った場合>

公営斎場で葬儀を行った場合は、火葬後、その式場に留まることができないので、お清めや初七日法要はご自宅に移動して行われることが多々あります。

または葬儀・告別式中に繰り上げて、初七日法要を執り行うこともよくあります。

※公営斎場の使用条件に留意して行うことになります。

 
 
 
<補足2:地域による違い>

地域によっては、塩を身体に振りかけるのではなく、門前や玄関前に塩を50cm四方くらいのタイル状に敷きつめ、その塩を踏んで通過して家に入るところもあります。

帰宅時のお清め

 
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2.遺骨を安置する(後飾り祭壇の準備)

四十九日の忌明け(納骨)までの間、遺骨を安置しておきます。

 
<後飾り祭壇を準備する>

家の中に「後飾り祭壇(中陰祭壇)」と呼ばれる祭壇を準備します。
四十九日までの間(中陰)、遺骨の安置場所となるため、中陰檀とも呼ばれます。

後飾り祭壇は、木で出来た二段または三段の棚に白い布を掛けたものです。
その祭壇に遺骨・位牌・遺影を安置し、花や供物などで飾ります。
葬儀の時に使用した供物や花なども利用します。

葬儀社に依頼しますが、通常は葬儀社の方から聞いてくれることが多いです。
葬儀社に依頼しない場合は、自宅にある小机などを白布で覆って代用します。

 
 
 
<後飾り祭壇に供えるもの>

○遺骨
○遺影
○白木位牌
○香炉または香鉢
○線香
○灯明(ろうそく・燭台)
○鈴
○花立て
○供物

後飾り祭壇

 
 
 
<後飾り祭壇を設置する場所>

自宅に仏壇があればその前に設置します。

ただし最近では、マンション等、住宅事情も変化し、北や西の方角にはこだわらなくなってきています。

○四十九日(納骨)までは動かせないこと
○弔問客をお通して焼香しやすいこと
を踏まえて設置場所を選ぶようにしましょう。

神棚の下に設置するのは避けるようにします。

 
 
 
<設置する期間>

四十九日の忌明け(納骨)までが一般的です。

ご遺族は忌明けまで毎日灯明(ろうそくに灯り)をともし、線香をあげて故人様のご冥福を祈ります。
後日、訪れた弔問客にも、ここで礼拝していただきます。

そのため祭壇を飾っている部屋は、そのままにしておき、派手な飾り物などは慎みます。

 
 
 
<補足1:昔と今の違い>

自宅葬が多かった頃は、出棺の後に留守番役で残った人が設置していました。

斎場葬が多い最近では、遺族が設置します。

 
設置の際のポイント

○後飾り祭壇は、持ち帰るのに良いタイミングで、葬儀社が手渡してくれることが多いです。

○故人様を自宅に安置した場合は、斎場への移送時に葬儀社がセットしてくれることもあります。

○葬儀場に出掛ける前に「後飾り用の祭壇」と「帰宅後のお清め用の塩と水桶」を設置しておくと、後で帰ってきた時に、スムーズに帰宅・安置ができます。

○葬儀社によっては、遺骨が帰るタイミングで遺族と一緒に葬儀社が自宅に伺い、そこで後飾り祭壇を設置することもあります。

ちなみに火葬後、斎場へ戻った時に遺骨を安置する壇は「法要祭壇」といいます。
法要祭壇には、遺骨・位牌・遺影を安置します。

 
 
 
<補足2:地域による違い>

地域によっては、葬儀当日、火葬後に埋葬するところもあります。その場合は、位牌と遺影を安置できる小さな壇を用意します。

 
 
 
<補足3:後飾り祭壇の片付け>

葬儀社が用意してくれる祭壇は、大抵がベニヤまたはダンボール等の簡単な材質で出来ています。

埋葬後は、喪家で祭壇を処分して構いません。
基本的には買取の商品であることが多く、返却することはありませんが、葬儀社に連絡すれば取りに来てくれる場合もあります。

ベニヤで出来た後飾り祭壇

 
 
 
<補足4:神道およびキリスト教の場合>
○神道

仏式と同じように後飾り祭壇に安置します。

上段には、霊璽(れいじ:仏教の位牌に相当するもの)、その脇に遺骨を置き、榊と花を飾ります。
下段には、供物を供えます。

 
 
○キリスト教

小机などに掛け布をして、その上に遺骨と遺影を安置し、花を供えます。

葬儀後に訪れる弔問客用として、献花用のカーネーションと、それを手向けるための黒いお盆を用意する場合もあります。

 
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3.還骨勤行

後飾り祭壇の前で、僧侶に遺骨迎えのお経「還骨勤行」を上げてもらいます。

還骨勤行は、宗派によって還骨法要(かんこつほうよう)や安位諷経(あんいふぎん)などとも言います。

還骨勤行

 
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4.初七日法要

<本来の形式>

初七日法要は、お亡くなりになった日を1日目として、7日目に行います。

親戚・友人・葬儀の時にお世話になった人たちを招いて、僧侶の読経の後、茶菓や食事でもてなします。

 
 
 
<現在の形式>

最近では、遠方から訪れた親戚などに配慮して、葬儀・告別式の当日に行われることが、ほとんどです。
これらを繰り上げ初七日法要と呼びます。

火葬場から帰ってきた後、還骨勤行のお経に引き続いて、初七日のお経も上げてもらうことが多くなりました。
首都圏では、葬儀・告別式の読経の後に引き続いて行われることもあります。

この他、仏事全般にわたって、期日を繰り上げることは許されますが、繰り下げ日延べすることは、供養の主旨から言っても好ましくありません。注意しておきましょう。

初七日法要

 
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5精進落とし

<本来の形式>

精進落としは、お亡くなりになった日から、49日後に行います。

仏教では一心に仏道に励むことを「精進」と言います。
食事では肉や魚といった生ものを食べず、代わりに野菜や豆・穀物などでつくった精進料理を食べます。

これにならって遺族は、家人の死から四十九日間は生ものを口にしませんでした(忌中は穢れを避けるという意味)。代わりに精進料理を食べました。

そして忌明けと共に普通の食事に戻りました。
その際に「精進落とし」と称して、肉や魚を食べたことから、その名が付けられました。

 
 
 
<現在の形式>

現在では四十九日間も生ものを食べないのは消えつつある風習です。

火葬場から帰ってきて、僧侶による還骨勤行、初七日法要の読経・焼香が終わると、精進落としの宴に入ります。

場合によっては、火葬場から帰ってきた後、僧侶による読経を省略して、そのまま精進落としに入ることも少なくありません(葬儀・告別式の中で繰り上げ初七日の読経を済ませている場合)。

さらに最近では、火葬場で火葬が終わるのを待っている時間に精進落としを行うケースも、一部地域で増えてきました。

なお現在では、僧侶を始め、葬儀でお世話になった方々の労をねぎらい、おもてなしする意味合いが強くなっているのも特徴です。

 
 
 
<精進落としの料理>

料理屋で会食形式にしたり、仕出し屋等から、会席料理やお弁当を取ったりします。料理の金額は、一人あたり2,500~5,000円程度が、一般的なようです。
お酒などの飲み物も合わせて用意します。
陰膳(故人様の食事)も供え、供養します。

通夜振る舞いの時と違って、出席人数がはっきりしているため、人数分だけを申し込みます。

会席料理を食べきれない場合は、折箱などに入れて持ち帰ってもらいます。折箱などの容器は、仕出し屋が用意してくれます。
ただし季節によっては、持ち帰り禁止の場合もあります。

精進落とし

 
 
 
<精進落としの席次と流れ>
○席次

遺骨を安置した祭壇側を上座とします。
僧侶が出席している場合は、最上席に座ってもらい、次に世話人、諸係、親しい友人・親族・遺族と続きます。

喪主は末席に座ります。
※現実的には、おもてなしするために、僧侶の横には喪主が座る場合が多いようです。

僧侶が食事にお付き合いいただけない場合は、「御膳料」を「御車代」と一緒にお渡しします。それぞれ1万円程度を目安とします。

精進落としの席次

 
 
○流れ

①喪主が開会の挨拶をして始めます。感謝の気持ちを込めて、一同にお礼の言葉を述べます。

②親族代表の方より、献杯の挨拶をいただきます。挨拶をお願いする方には、事前に本人に依頼しておきます。

③遺族を始め、関係者全員、通夜からの疲れがたまっていることにも配慮して、1時間程度もてなします。

④喪主が閉会の挨拶をして終わります。

 
 
 
<精進落としの挨拶>
○挨拶のポイント

①葬儀が無事終了したことの御礼を述べる。

②通夜、葬儀・告別式、火葬と、参列者一同疲れているので、挨拶は手短に行う。

③ただし葬儀・告別式での喪主側のあいさつが時間の都合で簡単に行われた場合には、ここで在りし日の故人様を偲ぶ。

 
 
○開会の挨拶例

本日は、亡き夫○○のために、いろいろお心遣いをいただき、ありがとうございました。

つつがなく葬儀を済ませることができましたのは、ひとえに皆様方のお力添えのおかげでございます。
厚く御礼申し上げます。

なお皆様のご厚情に深謝し、心ばかりではございますが小膳を設けておりますので、いっとき、おくつろぎいただきまして、精進落としをしていただきとう存じます。

本日はありがとうございました。

 
 
○閉会の挨拶例

本日は本当にありがとうございました。

まだまだ生前の故人の思い出話・懐かしいお話をお伺いしたいところではございますが、遠方から参列の方もいらっしゃいますので、この辺りでお開きにさせていただきたいと存じます。

長い間お引き留めいたしまして、申し訳ございませんでした。

今後ともよろしくお願い申し上げます。

本日はどうもありがとうございました。

 
 
 
<事情があって会食の宴を設けない時>

お酒とお弁当をセットにしたものを配ったり、お金(御食事代)を差し上げるなどして、精進落としの宴に替えることもあります。

最近ではコロナ禍ということもあり、お酒とお弁当のセットをお渡しして済ませる場合も増えています。

その場合、僧侶に対しては、通夜振る舞いの時と同様に「御膳料」を「御車代」と一緒にお渡しします。

お弁当にした精進落とし

 
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6まとめ:遺骨の迎え方は、本来の流れと意味を押さえておくと安心です

遺骨の迎え方は、自宅葬から斎場葬への移行や会葬者への配慮から、行う順序が変わってきましたが、本来の流れと意味を押さえておくと安心です。

また、年配者や遠方からの参列者の帰宅時間を考慮して、法要と精進落としを進行させることも大切です。

 
<遺骨の迎え方の流れ>

①火葬場から自宅に戻って身体を清める
②遺骨を自宅に安置する(後飾り祭壇の準備)
③還骨勤行
④初七日法要
⑤精進落とし

 
 

斎場で葬儀を行う場合は
①火葬場から斎場に戻って身体を清める
②還骨勤行
③初七日法要
④精進落とし
⑤自宅に戻って身体を清める
⑥遺骨を自宅に安置する(後飾り祭壇の準備)

または

①還骨勤行(告別式の中で)
②初七日法要(告別式の中で)
③精進落とし(火葬の待ち時間に)
④火葬場から自宅に戻って身体を清める
⑤遺骨を自宅に安置する(後飾り祭壇の準備)

となることが多くなっています。

 
 

冒頭でもお伝えした通り、遺骨を自宅へ安置すると、遺族の務めが一段落します。
精進落としが終わったころには、疲れが出ていると思います。
早めにゆっくり休んでください。

 
 
 

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