ご遺体安置イメージ

2024年1月22日更新。

安置(あんち)は文字通り、故人様をある場所に寝かせた状態にしておくことを言います。

「安置はなぜ必要?」
「どこに安置したらいいの?」
「どのように安置したらいいの?」

この記事では、上記のような安置に関する疑問について、お答えしていきます。

最近増えつつある、通夜や葬儀・告別式を行わない「直葬」や「火葬式」と呼ばれる形式をお考えの方は、お別れの時間をきちんと取る上で「安置」は重要なポイントとなりますので、確認しておくと安心です。

 
 
 
 
【もくじ】
1.安置とは
2.安置までの流れ
3.安置する場所
4.安置のために用意するもの
5.安置方法
6.安置後(納棺までの間)に行うこと
7.神道・キリスト教の場合の安置
8.まとめ:安置は「故人様と直に接する」貴重な時間。安置場所を十分に検討しましょう
 
 
 
 

1.安置とは

<安置の概要>

安置とは、棺に納めるまでの間、故人様を寝かせた状態にしておくことを言います。
布団に寝かせ、身支度を整え、枕元に供物を供えるのが一般的です。

 
 
 
<安置が必要な理由>

通常、お亡くなりになった後24時間は、法律により火葬することができないためです。
その間は、故人様をどこかに安置しておかなければなりません。
※伝染病による死亡を除く。

なお、多くの病院には霊安室(安置施設)がありますが、スペースに限りがあるため、故人様を病院内に長く安置しておくことは、通常できません。

そのため、ご臨終後1~2時間の内に、葬儀社を手配して、寝台車で故人様を病院から自宅、または安置施設へと搬送します。

 
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2.安置までの流れ

 

①故人様の搬送先の決定
②搬送の依頼(葬儀社の決定)
③死亡診断書の受け取り(深夜の場合は翌日に病院に再訪し受け取る)
④故人様の搬送
⑤故人様の安置
⑥菩提寺・親族・会社へ連絡
※病院でお亡くなりの場合の流れ。

 
 

故人様を安置した後は、納棺(故人様を棺にお納めする)まで、そのままの状態にしておきます。

安置している間は、故人様に付き添うことのできる貴重な時間となります。そのため、「安置場所をどこにするか」は、大変重要です。

①~⑤の詳細は、病院や自宅で亡くなった後の流れ|連絡や搬送、ご安置や葬儀の手配についてをご覧ください。

 
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3.安置する場所

 
①自宅
②安置施設

が主なものとして挙げられます。

 
 

3-1自宅

一般的に多いとされるのが自宅です。
故人様と自由に面会できることが利点です。

 
 
<自宅に安置する際のポイント>

○仏間や畳3枚分の広さを確保できる部屋を選ぶ。

○故人様の状態を保つために、エアコンなど空調設備のあることが望ましい(特に夏季)。

○玄関から部屋までの動線も考慮しておく。

※故人様の運び入れと共に、納棺後には柩の運び出しが必要になります。故人様を立てたりせず、横にした状態でお連れできると良いです。

 
 
 
 

3-2安置施設

○マンション等にお住まいで故人様を部屋に運び込むのが物理的に難しい場合
○近所に亡くなったことを伏せておきたい場合
には、安置施設を利用します。

 
 
<故人様との面会に注意>

安置施設では、面会に条件が設けられていることが多いので、利用前に確認しておくことができると安心です。

一般的な傾向としては以下の通りです。

○葬儀社の安置施設
・面会できる時間帯および1回あたりの面会時間が決められていることが多い。

○民営の安置施設
・安置に特化した施設であることが多いため面会は比較的自由。

※貸し斎場の安置施設などは、安置した斎場で葬儀を行うことを前提としている施設もあるため、確認が必要。


○公営斎場の安置施設
・納棺した状態でないと預かってもらえない場合が多い。そのため、安置施設に到着する前に、葬儀社の安置施設で納棺を済ませることが必要。
・面会時間が決められていることが多い。
・また複数の故人様が預けられた場所で面会するので、制約・制限が多い。


全国儀式サービスをご利用になる方は、自宅または葬儀社の安置施設を選ばれることが多いです。

なお安置施設には、面会以外にも、
○設備
○斎場への移動
○火葬場への移動
○施設の利用料
○自宅からの距離
といった選ぶ際の特徴があります。

詳しくはそれぞれの安置場所の特徴をご参考ください。

 
 
 
 

3-3補足:火葬のみの形式で行う際は要注意

通夜や葬儀・告別式といった儀式を行わない「直葬」や「火葬式」と呼ばれる形式を選択する場合には、故人様の安置場所ついて注意しておきましょう。

なぜなら、費用を極端に抑えたプランの場合には、安置施設で故人様を安置することが多く、安置した後は、

○納棺は葬儀社の手によって行われることが多い(立ち会えない)。
○火葬当日まで故人様に会えない。
○当日も「故人様と対面してお別れする時間」を十分に確保できない。

ということが起こる傾向にあるからです。

そのため、「面会の有無」「面会できる時間帯」「面会時間」について、依頼前に確認して検討できると安心です。

 
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4.安置のために用意するもの

 

自宅で安置する場合には、故人様を寝かせる布団を用意します。
それ以外は基本的には葬儀社が準備してくれます。

 
 

4-1安置に必要なもの一覧

○布団
 ・敷き布団と掛け布団を1枚ずつ用意。
 ・枕も用意します。
 ・自宅でベッドを使用していた場合は、それを利用する場合もあります。
○シーツ
 ・シーツは病院を出るときに故人様を包んでいたシーツをそのまま使います(葬儀社が用意)。
○着衣(病院で着せてくれた浴衣を使用)
○ドライアイス(葬儀社が準備)
○枕飾り一式(葬儀社が準備)
○お供え物(葬儀社に確認、または遺族が用意)

安置施設で安置する場合は、葬儀社が全て用意してくれます。

 
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5.安置方法

 
①ご安置する部屋を整理する
②故人様を布団の上に安置する
③故人様にドライアイスの処置をする
④故人様の枕元に枕飾りを設置する
 

①は、自宅で安置する場合に行います。
②~④は、葬儀社が手伝ってくれます。

 
 

5-1ご安置する部屋を整理する

○病院から搬送している間に、別の家族が整理することが望ましいです。

 
 
 
 

5-2故人様を布団の上に安置する

○布団を敷き、その上にシーツを敷きます。
○故人様を北枕にして寝かせます。 ※1
○顔を白布で覆います。
○両手を胸元で合掌させ、指先に数珠を掛けます。
○布団の上の胸のあたり、または枕元に、「守り刀」を置きます。魔除けの意味があります。葬儀社が用意してくれます。 ※2

 
 
 
 

5-3故人様にドライアイスの処置をする

○葬儀社が添えてくれます。

 
 
 
 

5-4故人様の枕元に枕飾りを設置する

○枕飾りの台を、故人様の頭の上か横に置きます。
○香炉(線香)、ろうそく、花立て(樒を1本または白菊1本)、鈴、水、枕飯、枕だんごを供えます。 ※3
○故人様の枕元に逆さ屏風を置きます。 ※4 ※5

 
 
 

※1:北枕
部屋の間取りなどで北枕が難しい場合には、西枕にします。

北枕(西枕)は、お釈迦様が亡くなられた時に、「頭は北で顔は西を向き、お身体の右側を下にして亡くなられた」ことに由来すると言われています。
頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)と呼ばれます。

枕を低くすると、口が開いたり、体液が出てくることがあるので気を付けます。

 
 

※2:守り刀
葬儀社が専用の守り刀を持参します。
または自宅にあるカミソリやナイフ、ハサミなどで代用されます。

 
 

※3:枕飾り
宗派によって多少の違いがあります。
状況により全部揃わない場合は、香炉、ロウソク、花、線香程度を用意します。
仏壇にある三具足(香炉・花立て・燭台)を一時的に使用することもあります。
葬儀社に依頼すると、葬儀に必要な品目の一つとして、枕飾り一式を用意してくれます。

 
 

※4:逆さ屏風
逆さ屏風は、「逆さごと」と呼ばれる風習の一つで、枕屏風を逆さにして立てることを言います。
また同時に、故人様のお姿が外部に見えないようにする目的も含んでいたようです。

枕屏風は、丈の低い屏風で、もともと風や寒さを防ぐため、枕元に置いて使用されていました。
最近は枕屏風のない家が多くなったため、省略されることが多いようです。
葬儀社が用意してくれた場合には、それを用います。

 
 

※5:逆さごと
人が亡くなった時に行われる昔からの習慣。
「日常の行為を正反対に行う」ことを言います。

○北枕
○掛け布団の上下を逆にする
○逆さ屏風
○逆さ水(故人様の身体を洗い清める際、水にお湯を足して適温にする)
○死装束を左前にして着せる
○足袋を左右逆にして履かせる

などがあります。

 
 
 
 

5-5補足:枕飾りの例

仏式の枕飾りイメージ

 
①香炉

 線香を立てます(宗派による)。

 
 
②ろうそく

 火を灯します。

 
 
③花立て

 樒を1本または白菊1本供えます。

 
 
④鈴

 仏壇に置いていたものを置きます。

 
 
⑤水

 湯飲み茶碗またはコップに入れます。

 
 
⑥枕飯(まくらめし)

 故人様が使っていたお茶碗にごはんを山盛りにして丸く整え、その中心に故人様の使っていたお箸を真っ直ぐに突き立てます。

 
 
⑦枕だんご

 上新粉で作っただんごを、お皿に盛るか、白紙を敷いた三方に載せます。

 
 

※①②は、昔は、ろうそく・線香を絶やさないように誰かが見守っていましたが、今では防災上の観点から、故人様に付き添っている間だけ灯すことが一般的となっています。

※⑦は、個数については諸説あり、地域によってお供えするだんごの数が異なります。6個、7個、13個、49個などがあります。

 
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6.安置後(納棺までの間)に行うこと

 
①故人様に付き添う
②僧侶に枕経を上げてもらう
③神棚封じを行う
 
 

6-1故人様に付き添う

○遺族や親族、弔問客と名残の時間を過ごします。

○故人様に直に接する最後の機会となります。納棺後は柩の窓からお顔を見ることはできますが、お身体全体は見ることができなくなります。

○安置場所によっては、付き添えない場合があります。

 
 
 
 

6-2僧侶に枕経を上げてもらう

○故人様の枕元でお経を読んでいただくことを枕経と言います。

○僧侶へ訃報の連絡をした際に、ご都合を伺った上で読経をお願いします。

○最近では、枕経を上げずに、通夜での読経を枕経とする場合も増えてきています。

○僧侶に対する枕経のお礼は、通夜・葬儀の分と合わせて、全てが終わってから渡すことが通常となっています。

○そのため枕経を上げてもらった時は「御車料」のみを渡します。

○遺族は地味な服装で臨みます。この時点では、必ずしも喪服を着る必要はありません。ただし、結婚指輪以外の装飾品は外します。

 
 
 
 

6-3神棚封じを行う

○自宅に神棚がある場合は、神棚封じを行います。

○神道では「死」をこの世で最も強い穢れ(けがれ)としているため、それが神棚に入らないようにします。

○扉のある神棚は、扉を閉じて、合わせ目に半紙を貼り、忌明けまで閉じておきます。扉がない場合は、半紙が御社(おやしろ)の正面を覆うようにして封じます。

○忌明けまでは、供物・灯明・御神酒などの類は控え、目の前にいる故人様に供物や線香を供えます。

※神棚封じは神道の教えによるものですので、仏壇に関しては封じたり、扉を閉めたりする必要はありません。

 
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7.神道・キリスト教の場合の安置

 

7-1神道の場合

<故人様の安置と枕直し>

臨終となると神棚および祖霊舎(それいしゃ)に帰幽(きゆう/神道の用語で亡くなることを指します)の奉告(ほうこく)をするとともに、扉の前に半紙をはります。

ご遺体は仏式と同じ北枕か、あるいは部屋の上位に向け、顔は白布で覆います。枕元に枕屏風を立て、守り刀(小刀、その他の刃物で代用してもよい)を置きますが、刃はご遺体に向けません。

枕飾りは灯明(とうみょう)、榊(さかき)、玉串(たまぐし)のほかに、生前故人が好んだ食べ物または洗米、塩、水を供えます。

 
 
 
<神道の枕飾り>

○榊(さかき)
○霊璽(れいじ)
○神鏡(しんきょう)
○御神酒(おみき)
○塩
○水
○洗米
○玉串

詳細は、神道の葬儀(神式の葬儀・神葬祭)について|意味や行う場所、流れ等を紹介をご覧ください。

 
 
 
 

7-2キリスト教の場合

故人様の安置の方角は特に決められていません。胸に組んだ手に十字架を持たせる、または首から下げて胸元に十字架が来るようにします。
宗派や教会によっても多少異なりますが、枕元には、燭台、十字架、白い花などを用意します。

 
 
<キリスト教式の枕飾り>

○黒布をかけた小机
○十字架
○ろうそく
○水
○花瓶と白い花(ユリやカーネーション)

安置場所が教会であれば、カトリックなら神父、プロテスタントなら牧師の指示に従って飾ります。

 
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8.まとめ:安置は「故人様と直に接する」貴重な時間。安置場所を十分に検討しましょう

通夜や葬儀・告別式と同様に、安置も故人様ときちんとお別れするために重要な時間となります。

また納棺後は、棺の窓から故人様のお顔を見ることはできますが、お身体全体は見ることができなくなります。
そのため、安置の状態は、故人様に直に接することができる最期の機会になります。

それを理解した上で、安置場所を十分に検討できると安心です。


特に
○直葬や火葬式と呼ばれる形式を選択
○費用を抑えたプランを選択
○自宅ではなく安置施設を利用
する際には制限があることを十分に理解して利用しましょう。


お亡くなりの際には、病院に故人様を長く安置しておくことができないため、深夜早朝・土日祝日に故人様を搬送する場合もあります。

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