キリスト教の葬儀のイメージ

2023年12月19日更新。

日本国内において、キリスト教の葬儀の割合は約1%といわれています。

このため、葬儀への参列経験がなく、もしもの時にどう対応したらよいのかわからない方が非常に多いと思われます。


本記事では、初めて参列する方を対象に、
○葬儀の特徴と流れ
○参列者が押さえておくべきマナー
○参列できない場合の対応
などについて説明します。


また、日本での信者数が多い宗派「カトリック」と「プロテスタント」では、葬儀内容に違いがありますので、あわせて触れていきます。

※記載の内容は首都圏での一例です。地域や宗派、教会の考えによって異なることがあります。

 
 
 
 
【もくじ】
1.キリスト教の葬儀の特徴
 
2.キリスト教の葬儀の流れ
 2-1カトリックの場合
 2-2プロテスタントの場合
 
3.キリスト教の葬儀の参列マナー
 3-1服装
 3-2御花料(香典)
 3-3かける言葉(挨拶)
 3-4聖歌・讃美歌
 3-5献花
 3-6供花
 
4.参列できない場合
 4-1弔電を送る
 
5.よくある質問
 
6.まとめ:キリスト教の葬儀への参列は、基本的な知識やマナーを理解しておくと安心です
 
 
 
 

1.キリスト教の葬儀の特徴

<「死」を不幸なことと考えていない>

キリスト教では、「死」によって地上での罪を許され、魂は神のもとで永遠の安息が与えられると考えられています。

このため、遺族への挨拶やおかけする言葉に注意する必要があります。

※詳しくは3-3かける言葉(挨拶)を参照してください。

 
 
 
<「聖歌・讃美歌」を斉唱する>

「聖歌(せいか)・讃美歌(さんびか)」とは、神への感謝や讃美などを表す歌のことです。
礼拝や宗教儀式内で全員が斉唱します。

 
 
 
<仏式の焼香に相当する「献花」がある>

日本独自の習慣として、故人様とのお別れに花を手向ける「献花(けんか)」を行います。

献花の順番は、喪主、遺族、親族、一般会葬者で、故人様と関係が近い方からとなります。

 
 
 
<仏式の通夜に相当する式がある>

キリスト教には、もともと通夜はありませんが、日本の風習を取り入れ、行われるようになりました。

 
 
 
<宗派によって呼び名が異なる>

■亡くなること

○カトリック:帰天(きてん)
○プロテスタント:召天(しょうてん)

 
 

■聖職者・教職者

○カトリック:司祭・神父
※「司祭(しさい)」は職位名、「神父(しんぷ)」は呼称。本記事では、以下「神父」と記します。
○プロテスタント:牧師(ぼくし)

 
 

■礼拝や宗教儀式の中で歌われる歌

○カトリック:聖歌
○プロテスタント:讃美歌

 
 

■仏式の通夜に相当する式

○カトリック:通夜の祈り・通夜の集い
○プロテスタント:前夜式

 
 
 
<葬儀を行う場所>

○カトリック:教会重視のため、葬儀も教会で行う。
○プロテスタント:聖書重視のため、葬儀の場所にこだわりはなく、葬儀社の直営斎場で行うことも珍しくない。

なお、コロナ禍で教会に人を集めることが困難になり、カトリックでも教会以外の場所で葬儀を行うケースがありました。
現在でもその流れが残っているようです。

 
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2.キリスト教の葬儀の流れ

カトリック、プロテスタントを例に、それぞれの葬儀の流れについて説明します。

一般の参列者が関わる主な儀式は、

○聖歌・讃美歌斉唱
○献花
〇祈りを捧げる

ですので、これらを意識しながら式の流れを確認してください。

 
 
 

2-1カトリックの場合

<通夜の祈り・通夜の集い>

遺族や参列者は先に席に着き、神父が入場すると儀式が始まります。
聖歌斉唱→神父による聖書の朗読・説教→全員で祈りを捧げる→献花→遺族代表の挨拶の順で行われます。

 
 
 
<葬儀ミサ・告別式>

カトリックでは、葬儀ミサと告別式は別に行われます。

 

■葬儀ミサ

入堂聖歌→開式→一同着席→葬儀ミサ(言葉の典礼・感謝の典礼)の順に進行します。

 

■告別式

葬儀ミサ終了後は告別式となります。
進行は神父だけではなく、遺族や葬儀社も行う場合があります。

聖歌斉唱→故人の略歴紹介→弔辞・弔電の奉読→献花の順に進行します。

 
 
 
<出棺>

神父が出棺の祈りを捧げ、遺族は故人との対面を行い、柩(ひつぎ)に花を入れます。

出棺前に遺族の代表者から挨拶されることが多いです。

カトリックの葬儀イメージ

 
 
 
 

2-2プロテスタントの場合

<前夜式>

納棺式と兼ねたり、納棺式に続けて行われたりします。

讃美歌斉唱→牧師による聖書の朗読・説教→全員による祈り→賛美歌斉唱→献花の順に進行します。

 
 
 
<葬儀式>

プロテスタントでは、告別式を兼ねた形式で行うことがあります。

参列者は先に入場し、柩と遺影を持った遺族を迎えます(教会によってはあらかじめ柩を安置しておく場合もあります)。

讃美歌の斉唱→聖書朗読→祈りを捧げる→牧師の説教(故人の略歴紹介も行う)→(告別式を兼ねる場合は)弔辞や弔電の紹介→献花の順に進行します。

 
 
 
<出棺>

牧師が出棺の祈りを捧げ、遺族は故人との対面を行い、柩に花を入れます。

出棺前に遺族の代表者から挨拶されることが多いです。

プロテスタントの葬儀イメージ

 
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3.キリスト教の葬儀の参列マナー

 

3-1服装

<喪服>

基本的には仏式の服装に準じます。

一般の参列者は、黒のスーツ、(女性は)ワンピースやアンサンブルの着用が主流です。

 
 
 
<小物類>

■靴、バッグ、ネクタイなど

仏式の葬儀と同様に黒色が基本です。
アクセサリーは、イヤリング、ネックレスとも真珠は身に着けてよいとされています。

 
 

■黒いベールつきのトークハットと手袋

カトリックの女性信者で、遺族のみ着用します。

 
 

■白いベール

カトリックの女性信者が着用します。信者ではない参列者は不要です。

 
 

■ロザリオ

カトリックでの祈りに使用する数珠のような用具で、信者ではない参列者は不要です。
仏式で使用する数珠は使いません。


※服装について詳しくは、以下の記事を参照してください。

○女性の服装
通夜や葬儀・告別式における女性の服装-参列する際に気を付けておきたいこと

○男性の服装
通夜や葬儀・告別式に参列する際の男性の服装とみだしなみ。持ち物も併せて紹介

 
 
 
 

3-2御花料(香典)

仏式の「香典(こうでん)」と同様に、金銭を「御花料(おはなりょう)」として遺族にお渡しするのが一般的です。

実際のお花を贈る「供花(きょうか・くげ)」やその代金である「お花代(おはなだい)」と似ていますが、混同しないようにしましょう。

 
<表書き>

「御花料」
※カトリックでは「御ミサ料」も使用します。
※「御霊前」も白無地の物であれば問題ないとされています。

 
 
 
<使用する袋>

○白無地の封筒のほか、十字架や百合の花の絵柄がついた不祝儀袋を使用します。

○蓮や菊の花がついたものは仏式用ですので避けます。

 
 
 
<金額の相場や袋の書き方など>

仏式と同様です。


※詳しくは、香典の準備について|金額、香典袋の選び方、入れ方、当日の渡し方まで紹介を参照してください。

 
 
 
 

3-3かける言葉(挨拶)

<適切な挨拶の例>

「安らかな眠りをお祈りいたします」
「○○様(故人様の名前)の魂の平安をお祈りいたします」

 
 
 
<適切ではない挨拶の例>

「お悔やみを申し上げます」
「ご愁傷様です」

 
 
 
<仏教用語を使用しない>

「成仏」「供養」「冥福」「往生」などは仏教用語です。
「ご冥福をお祈りします」の挨拶も避けます。

 
 
 
<忌み言葉を避ける>

キリスト教の葬儀に限りませんが、使ってはいけない言葉があります。

例えば、
◯「死・苦」と、同じ音の「四・九」
◯「苦しむ」「死亡」など生死を直接的に表現
◯「ますます」「いよいよ」「たびたび」等の重ね言葉

 
 
 
 

3-4聖歌・讃美歌

式次第に歌詞が記載されていることが多いようです。

耳にしたことのある曲であれば、歌ってみましょう。

もし歌詞がわからなければ、ハミングだけでも構いませんし、無理に歌わなくても構いません。

 
<よく歌われる聖歌・讃美歌>

「いつくしみ深き」
「主よみもとに」
など。

 
 
 
 

3-5献花

献花に使用する花は、遺族側が用意(葬儀社に依頼)します。

 
<献花に使用される花の種類>

生花のカーネーション、ユリなどで、花の色は白、手向けやすいように茎の長いものが選ばれます。

 
 
 
<献花の手順>

①ご遺族に一礼し、花を受け取る

順番が来たら祭壇に進み出て、ご遺族に一礼をしたのち、花の部分が右側にくるようにして、両手で係の人から花を受け取ります。

このとき、右の手のひらは上向きに、左の手のひらは下向きになるようにします。

ご遺族に一礼し、花を受け取る

 
 

②花を持って一礼する

両手で持ったまま献花台の前に進み、祭壇に向けて一礼します。

花を持って一礼する

 
 

③根元を祭壇に向けて、献花台の上に置く

根元が祭壇の方に向くよう右に回して花を持ち替え、左手を下から花に添えて献花台の上に置きます。

花を持ち直す

 
 

④手を合わせて黙とうするか、深く一礼

黙とうか一礼を終えたら、そのまま2、3歩下がり、ご遺族に一礼してから席に戻ります。

※黙とうの際、カトリックでは十字を切り、プロテスタントでは胸の前で手を組みますが、信者以外は、ふつうに手を合わせて黙とうしても構いません。

※参列者が多く、時間がかかりそうな場合は、献花を省略し、全員で黙とうを捧げる場合もあります。

献花台に置いて黙とうする

 
 
 
 

3-6供花

供花とは、故人様の霊前に供える花のことで、より深い弔意を表すものとして贈ります。

祭壇や会場内が寂しい雰囲気にならないようにする役割もあります(祭壇には飾らない場合もあります)。

 
 
 
<供花の形式>

小さめのかご(バスケット)が用いられます。

名札は供花に付けて飾られる場合と、教会の入口などに芳名板で並べられる場合があります。

 
 
 
<花の種類>

生花のみで、造花やプリザーブドフラワーは不可です。

白の百合、蘭、カーネーションなど、白やピンクなど明るい色がよく用いられます。

その他には洋花が多く、仏教で用いる菊は使用しません。

 
 
 
<贈り方>

遺族が供花を辞退されているケースもありますので、あらかじめ遺族か葬儀社に確認の上、葬儀が行われる教会か斎場に贈ります。

花が指定されていたり、持ち込み不可の場合があったりしますので、あわせて確認します。

手配方法は次のいずれかです。
◯葬儀を施行する葬儀社に依頼
◯斎場近隣の生花店やインターネット通販による手配

※詳しくは、お葬式における供花の送り方|手順や注意点、花の種類や相場、芳名札の記載についてを参照してください。

 
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4.参列できない場合

 

4-1弔電を送る

葬儀に参列できない場合、遺族に対して弔意を伝えるために「弔電(ちょうでん)」を送るとよいでしょう。

弔電は、遺族が辞退される場合を除き、葬儀に参列できない方はどなたでも送ることができます。

教会や斎場に届けられた弔電は必ず遺族に渡されます。

 
 
 
<補足:供花・御花料との組み合わせ>

○供花は、弔電と組み合わせて贈ることができます。

○御花料は、教会や斎場宛てに送ることを控え、後日ご自宅に持参するか、哀悼の意を込めた手紙を添えて送付するとよいでしょう。

 
 
 
<弔電を送る際の注意点>

■使用不可の台紙がある

◯「蓮」が描かれた台紙・線香つきの台紙(仏式のみで使用するため)

◯プリザーブドフラワー付きの台紙(生花を贈るのがマナーとされるため)

 
 

■適切な台紙を選ぶ

○描かれている花が「白ユリ」「カーネーション」「カスミソウ」

 
 

■適切な電文にする

注文先で用意されている文例から選ぶと安心です。

「神の御許に召されました○○様が、安らかな眠りにつかれますようお祈り申し上げます。」(佐川ヒューモニー「VERYCARD」 文例:ST72より)

このほか、宗教を問わない文例も使用できます。

「ご逝去の報に接し、心から哀悼の意を表します。」(佐川ヒューモニーVERYCARD 文例:SN06より)

 
 

■適切ではない表現や言葉に注意

3-3かける言葉(挨拶)と同様に、適切ではない表現や忌み言葉を避けるようにします。

 
 
 
<弔電の送り方>

電報会社に依頼します。
ウェブサイト、電話からの申し込みが中心です。

※詳しくは、弔電の送り方|送るタイミングや宛名・差出人、文例や金額についてご紹介を参照してください。

 
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5.よくある質問

Q:母が洗礼を受け、キリスト教の葬儀を希望していますが、家族は信者ではないため詳細がわかりません。どのように進めたらよいのでしょうか?

A:洗礼を受けた教会にご相談してください。

場合によっては葬儀社を紹介してくれることもあります。

ご自身で葬儀社を手配した場合でも、葬儀社との打ち合わせ時には教会の方に立ち会っていただくようにします。

菩提寺がある場合、菩提寺内のお墓には納骨できない可能性が高いので、家族間で事前に相談するようにしましょう。

 
 
 
 

Q:父がキリスト教の葬儀を希望していますが、洗礼を受けていません。本人は闘病中のため、教会に通えませんが、どうすればよいでしょうか?

A:教会にご相談してください。

カトリックでは、原則として生前に洗礼を受けた信者の方のみ葬儀を行うことができます。

プロテスタントは教会によってお考えが異なるようです。

 
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6.まとめ:キリスト教の葬儀への参列は、基本的な知識やマナーを理解しておくと安心です

ここまでキリスト教の葬儀に参列する方が知っておくべき流れ、マナー、宗派による違いなどについて説明してきました。

 
<ポイント>

○カトリックとプロテスタントでは葬儀の流れや呼び名に違いがある。
○聖歌・讃美歌斉唱、献花がある。
○参列者の服装は仏式と同じでよい。
○御花料はキリスト教に適した袋に入れる。
○弔電は文面と台紙の選択に注意する。

 

なお、もしご家族やご自身がキリスト教の葬儀を希望する場合は、以下の点にご留意ください。

 
 
 
<生前から教会とのつながりを持つ>

最も重要なことは、「亡くなってから」ではなく、「亡くなる前から」教会とのつながりを持っておくことです。

特にカトリックは原則として、洗礼を受けていないと葬儀を引き受けていただけません。

 
 
 
<早めの葬儀社選びをお勧め>

そもそもキリスト教の葬儀件数が少ないため、ほとんど経験のない葬儀社もあります。

このため、いざその時になって探しても、安心して任せられる葬儀社が見つからないこともありえるでしょう。

全国儀式サービスが契約している約500社は、地元に密着し、長年の実績と信頼を重ねた葬儀社のみです。

キリスト教の葬儀が施行可能な葬儀社をご紹介いたしますので、ご相談ください。

 
 
 

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